新しい労務管理の勉強会

先日自主的に集まった園長・社会保険労務士の5名で労務管理と保育園経営について勉強会を行いました。とても有意義な時間になりました。

それぞれの園で労務管理に関する悩みを共有するとともに、各園で取り組んでいる活動を社労士の方から講評してもらい、同時に活用できそうな助成金などの情報を受けることが出来ました。

 

悩ましいこと

パートタイムで働いている保育士についても、年次有給休暇を年間5日以上与えなければならなくなります。働き方改革の一貫ですね。

趣旨には賛同できますし、当園では平均で75%以上の年次有給休暇を消化しています。

一方で、パートタイムで働いている保育士については年次有給休暇を取得した場合、配置基準上の常勤換算保育士数に入れることが出来ないようです。法令等の根拠を調べることが出来ていませんが、もしそうだとしたらパートタイム保育士を多数雇用している園では年次有給休暇をあまり取得されると困る事になりそうです。

また、正規職員については年次有給休暇を取得しても配置基準には関係しないそうです。理屈が通らないですね。憤慨していますが、法令等の根拠がわからないのでなんとも言えないです。

 

労務管理の方向性

保育園や認定こども園では職員を確保しなければ子どもを受け入れることが出来ません。そして保育園・認定こども園で働く職員の処遇・給与面は決して恵まれたものではありません。ほとんどの職員が子どもたちの成長を一緒に喜びたいという気持ちから厳しい条件を物ともせず働いてくれています。

国全体として働き方を変えようとしているにもかかわらず、厳しい条件のままで働かせようとしていることをどう考えているのか、政府・厚生労働省に問い詰めたいところですが、ここでは今後の保育園・認定こども園の労務管理の方向性を考えてみたいと思います。

 

給与の上昇は難しい

いかに就学前に室の高い保育・教育を受けることが、人生の中盤から後半に大きな影響を与えると「幼児教育の経済学」や「ペリープリスクールプログラム」などで明らかになったとしても、おそらく後20年から30年は大きな転換は望めないと思います。これは一世代単位で意識が変わらないと物事が変わらないからです。

したがって、今後20年から30年は保育園・認定こども園で働く職員の大幅な賃金上昇は望めないと思います。

一つの希望としては団塊の世代に対する社会保障費を支払わなくても良くなる時期が来れば、就学前の子どもに対する社会保障費が増えることが考えられます。ただ、この可能性は低いと思います。

 

休みやすい職場、人間関係の良い職場が選ばれる

保育園・認定こども園の需要は子ども数が減少することで減少すると思います。一方で、夫婦共働き世帯は今後一層増えると思います。

出生率が現状程度を維持するか、多少なりとも増加するのであれば、今後10年程度は保育園・認定こども園への需要は維持されると思います。

一方で、保育園・認定こども園で働く職員の絶対数は減っていくと思います。定年退職の数が増える一方で、新規に保育職へ就こうと思う人は減少するからです。

それを踏まえると、いかにして保育職を獲得するか?が非常に重要になります。

賃金はそれほど差がないことを考えると、休みやすいとか人間関係が良いということが、保育職を目指す人にとってとても大きな選択基準となります

 

選ばれる職場を作るためにはどうするべきか?

経営者として保育職を目指す人から選ばれる職場を作るために、何をすればよいのでしょうか。

一言で言えば「今働いている人に”この職場で働いていてよかった”と感じてもらえるようにすること」だと思います。

 

職場を選ぶときには、そこで働いている人の印象が非常に強いインパクトを与えます。その内容が真実かどうかよりも、属人的なつながりや口コミといった情報のほうが重要性が高くなります。

だとすれば、今いる職員を大切にして、今いる職員が働きやすい環境を整えることが、現在または将来の職員を確保し定着させる唯一の手段になるのです。

 

今いる職員を大切にするためには、経営者が積極的に職員の希望をすくい上げて、それを実現できるようにあらゆる経営資源を使う事が必要になります。それ以上に重要なこととして、経営者は自らが考える経営ビジョンを、職員が分かる言葉で伝え続けることが必要になります。理念を実現できること、理念に共感できること、これが「選ばれる職場を作るために必要な行動」となります。

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