良い宿と悪い宿の違い

たまたま親戚が日本に帰ってくるということで、地元のいい宿に宿泊することになりました。

今回宿泊してみて感じたのは「やっぱり良い宿では五感で感じる全てに気を配っている」というところでした。

そして、同時にビジネスで大切なことは、保育でも大切にされてきたことだったと気づきました。

 

旅行客の立場に立っているか?

今回宿泊した宿と他の宿を比べるのは、価格も違うから不公平かもしれませんが、宿全体から受ける印象ということで比較したいと思います。

まず、宿泊の予約の段階で、何度か問い合わせをしたり注文したりしたのですが、そのことが全て的確に反映されていました。

当たり前かもしれませんが、一回の宿泊で次があるかどうか決まってしまうビジネスである宿泊業において、その一回を最高の一回にできるかどうかは、リピート率に直結します。また、同時に口コミが非常に強い影響力を与えるビジネスなので、その口コミにも非常に強い影響力を与えます。 そのことをしっかりと理解しているのだなと感じました。

そして、全てにおいて旅行客の立場に立って何をすべきか考えられていると感じました。

到着して部屋に入るまでにちゃんとしたおもてなしがあり、部屋が清潔にされており、かすかな音楽の流れる部屋は清潔な中に自然を感じられる香りがしていて、調度品は温泉の雰囲気を損なわない配置となっていました。

また温泉は非常に気持ちよく、風呂上がりに欲しくなるものが手に届くところに配置されていました。

「何をすべきか」「何を置くべきか」を考える際に、すべてが旅行客の視点から整理されているように感じます。

 

マーケットインとの共通点

ビジネスにおいてずいぶん前に使い古された言葉として「プロダクトアウト、マーケットイン」と言う言葉がありました。旅館業でいえば、自分の旅館が持っている強みを最大限に押し出すのがプロダクトアウトで、旅行客が求めて散るものに答えることを極大化したのがマーケットインです。

強みを活かすことは戦略策定で最優先すべきですが、あえて強みを殺してでも旅行客のニーズに答えようとすることで、「その旅行客」が満足するところを目指していると、その旅行客にとって「かけがえのない経験」を与えることができます。

サービス業において、買い手の期待を大きく上回ることができれば、かけたコストの何倍ものリターンが得られます。また、顧客も期待を超えてくることを期待しているので、掛けた費用を「惜しくない」と感じるのだと思います。

この考えで今回の旅館は大成功していたと感じました。

 

共感力との共通点

共感することは保育の世界ではある意味「当たり前に」できていなければならないことです。

共感することなしに、保育者の思う通りの保育をしているようでは、管理的な保育しかできませんし、そんな保育は数十年時代遅れの保育だと思います。

そして共感することは「相手の目で見て、相手の耳で聞き、相手の心で感じること」と言いかえることができます。すべてが相手の立場に立って(仮想的に)経験することが「共感すること」なので、この点で今回の素晴らしい旅館は「共感力」が高い従業員たちによって営まれていると言えました。

 

ビジョンの共有ができている

これは完全な推測ですが、従業員達の所作や言動から、この旅館のビジョンが全従業員にしっかりと共有されているように感じました。

何をすべきなのか考える際に、必ず旅行客の立場で考え、そのためにできることをすべてするということが自然と行われていたからです。それは「上長に確認します」というような、自分で判断できない状況がほとんどなかったことからもわかります。

こんな時どうすればよいか?の判断基準がビジョンであり、その判断を尊重してもらえる環境にあるから、従業員が自分で考えて行動出来るのだと思います。

 

得たものを保育に活かす

身の回りのすべてのものが勉強だと感じます。

どんなことでも様々な観点から見直して、自分の保育に活かすことができれば、お金をかけて勉強するよりも、もっと実践的な力が身につくと思います。

全くジャンルの違うものでも、実は似ていることがあり、全く使えなさそうな知識や経験でも見方を変えれば非常幣に使える技術に変わったりもします

今回得たことから、私は自分の保育園のビジョンをもっと明確に具体的にしていこうと感じました。そして、職員のみんなが自分で考えることができる保育園にしたい、さらに、そんな職員を見て、そんな職員と一緒に生活することを通じて、子どもたちが自分で考え、自分で行動する人たちになってほしいと感じました。

一つ一つの行動が変わっていくまでには長い時間がかかるかもしれませんが、毎日続いている保育の営みの中で、できることから少しずつ進めていきたいと思います。

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