コーチングを日々の業務に

日々の業務を行う際に、ベテラン職員の力を借りることがとても多いです。ベテランがいなければ円滑な園の運営は難しいですので、ベテランの意見は非常に貴重です。

一方で、ベテランは今までの経験を使って仕事をしていくので、「これまでのやり方」から離れにくい人もいると思います。そういう人にこそ、「コーチング」が必要になってきます。

ベテランこそコーチングが必要

ベテランはこれまで何ども大変な状況を乗り越えてきた経験があります。その経験は他の人には容易に手に入れることができませんし、経験があることは同じような状況になったときに素晴らしい解決力を発揮する事ができます。

しかし、ベテランの中には経験を重視しすぎるために、新しい試みを嫌がる人や失敗しないことを最優先にしてしまう人も一定数います。経験の少ない人や失敗してしまった人に、自分の経験からアドバイスをしてもらえるのであればそこまで問題はないのですが、自分のやり方以外のやり方をして失敗した人に対して辛く当たってしまうと、職場環境が一気に悪くなってしまいます。

経験豊富なベテランをうまく活用していくためにも、ベテランに対してコーチングがとても有効と考えています。

 

何のためにやるのか?を考えさせる

経験があれば同じような状況のときに解決策を容易に思いつくことが出来ます。しかし、新しい状況や経験したことがない状況に置かれたときに、経験が邪魔してより良い解決策を考えたり実行したりすることが難しくなることもあります。

たとえ経験豊富であったとしても、「この仕事は何のためにやるのか?」ということを常々問い続けるようにしてもらえれば、ベテラン自身も新しいチャレンジや新しい試みをしていくようになるでしょうし、経験の少ない人が失敗しても「何のためにやるのか?」とチャレンジが乖離していなければ、適切なアドバイスが出来るように思います。

 

目的にあった手段を決めてもらう

同じような仕事でもベテランに「何のためにやるのか?」を問いかけて、目的を明確にして、そのためにどんな手段があるのかを考えてもらうのが良いと思います。そして、やったことがなくても目的に適した手段であれば、それにチャレンジすることを推奨するのが良いと思います。

はじめはとても抵抗されるかもしれませんが、目的に適した手段を選ぶ「経験」を重ねていけば、新しいチャレンジへの抵抗感は徐々に薄れていくと思います。

 

決めたことに責任を持ってもらう

新しいチャレンジをすると決めたからには、最後まで責任を持ってやり遂げることをコミットして貰う必要があります。

「新しいことをやれと園長が言ったからやってみたけど、やっぱりうまくいかなかった」というような言い訳を許してしまうと、「これまでどおりのやり方が一番いい」という考えを強化してしまうことになります。そのサイクルが続いてしまうと、「私の言うとおりにやっていれば問題ない」「私の言うことを聞かない人はどうせ失敗する」というように、悪循環に陥ります。

やると決めたことはきちんとやり遂げる、やり遂げた結果うまく行かなかったのであれば、改善するための方法を考えるというように、チャレンジそのものは良いことだという価値判断を持ってもらうことが重要です。

 

出来たことを「嬉しく感じ」「感動する」

経営者としては、ベテランであれば新人であれ、チャレンジしたことを「嬉しく感じ」ることが大切です。誰かが嬉しいと感じてくれることを体験しないと、チャレンジへの報酬が感じられないため、継続してチャレンジしようというモチベーションが無くなってしまいます。

注意しなければならないのは、例えば新人職員がベテランのチャレンジを「嬉しい」と感じていると、ベテランからすると癪に障る場合があります。一番効果的なのは園長先生が「嬉しい」と感じることです。

誰しもが自分の行動に対してプラスの評価を得たいと思っており、上司からプラスの評価を得ることは、処遇に直結しなくともやりがいを強く感じる事ができます。結果がどうあれ、チャレンジしたプロセス自体を「嬉しい」と経営者が感じること、それをチャレンジした人にしっかりと伝えることが重要になります。

 

結果がうまく行ったときには経営者はその結果に「感動する」ということも大切です。

うまくいくかどうかわからない不安を抱えてチャレンジした人に対して「うまく行ったね!良かったね!」と感動することは、その人の頑張りが報われたと感じる瞬間となります。そして経営者が直接頑張りを認めてくれたと感じることができれば、これもまたやりがいを強く感じる事ができます。

 

コーチングの細かい手法については割愛しますが、コーチする対象者が自分の仕事に対して自信を持ち、やりがいを感じ、その結果組織の目的達成に一歩ずつ近づくことがコーチングの目的だと思います。

基本的な能力の高いベテランにこそコーチングを行って存分に能力を発揮してもらえるようにできれば、園としても保育の質が向上します。また、ベテランがやりがいを感じている様子を見た若手職員も、触発されてチャレンジすることが増えるかもしれません。うまく結果が出せれば更に園としての保育の質が向上します。

可能であればベテランにはコーチングを受けて自分が経験したことを今度は若手職員に対してやってもらいたいと思います。良い循環が次々と起きている職場は、職員の表情がキラキラしてきます。

私の園もそんな人達の溢れる職場にしてみたいと思っています。

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