時間は有限で全員に平等なほとんど唯一といって良いものだと思います。

今回は時間のマネジメントについて書いてみたいと思います。

保育士の1時間あたりの価値

保育士の皆さんは1時間あたりいくらの価値を生んでいるのでしょうか?

そんな事考えたこともないという人がほとんどかもしれません。確かに保育の仕事は金銭的な価値と置き換えることが非常に難しい仕事だと思います。自分たちの仕事が目に見える結果に結びついているのかすら分かりにくいですし、金銭的な価値に置き換えること自体「侮辱している」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは「保育士の収入」の面から1時間あたりの価値を考えてみたいと思います。

保育士の平均年収

保育士が1日8時間、1週間に5日勤務しているとすると、年間総労働時間は2,080時間となります。もちろんシフト勤務などでこのようにきれいに整理できないと思いますし、もっと勤務時間が長い、サービス残業を含めるともっと長いという方もいらっしゃるかもしれません。

考え方の整理ということで一旦は個別事情を無視してもらえればと思います。

 

保育士の給与事情

2017年の統計によると、常勤で働くフルタイムの保育士の給与は、全国平均で22.9万円でした。年間賞与は66.25万円で、年収換算すると約342.1万円です。この給与水準が高いのか低いのか、検討してみましょう。

保育士バンクより引用】

そして、常勤フルタイム勤務の保育士の平均年収(給料+賞与)は約341万円だそうです。上記の通り年間総労働時間の2,080時間で割ると、1時間あたりの価値は1,640円となります。ちなみに60分で割ると一人1分あたりの価値は27円となります。

ということは、年収から換算した場合、保育士の1時間あたりの価値は1,640円となると考えることが出来ます。

この金額は高いでしょうか?安いでしょうか?人それぞれかもしれませんね。

例えばこちらで取り上げられている保育に関する本の特集で取り上げられているいくつかを選んでみました。

読書の秋です。忙しい保育士さんですが、涼しくなってくるこの時期に少し読書をしてみませんか?楽しみながら知識も身につけてしまいましょう。この記事では、保育士さん向けのおすすめ本を厳選して15冊紹介いたします。

保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」 (PHP文庫)

子どもはみんな問題児。

0歳~6歳子どもの発達と保育の本 (Gakken保育Books)

保育のお仕事レポートより引用

530円、680円、1080円の合計2,290円ですので、1時間半仕事をしたらお釣りが来るとも言えます。これらの本は保育士にとってためになる本だと思います。それだけの価値を1時間の仕事で生んでいるのだと思うと、少し自分の仕事に自信が持てるのではないでしょうか?

 

ECRSの原則

逆にそんなに価値を生んでいるとは思えないという人は、知らず知らずのうちに「無駄な」仕事をたくさんしているのではないでしょうか?

無駄な仕事をしていると思う人は、ECRSの原則で自分の仕事を見直してみるのが良いと思います。

ECRS(イー・シー・アール・エス、またはイクルス)は、(1)Eliminate(排除)、(2)Combine(統合)、(3)Rearrange(順序入れ替え)、(4)Simplify(簡素化)の頭文字から取ったものです。その順番に検証していくことで、無駄な業務を減らし、仕事の効率化を図ることができます。もともと生産管理現場で業務改善の指針になっている考え方ですが、生産現場以外でもその応用が利くとあって、近年あらゆる業種・職場で注目を集めています。

大塚商会より引用】

ECRSの原則を説明しているホームページなどは工場などを想定している場合が多いので、保育の世界には馴染みにくいかもしれませんが、自分の仕事を考えてみてE(やめられないか)、C(他と一緒にできないか)、R(手順を変えられないか)、S(簡素化出来ないか)を考えてみると意外と使えることが多いと思います。

 

ここで問題になるのが「無駄」とは何か?ということです。

結論を言えば、「保育目標にかなっていない仕事」は無駄だといえます。

ですが、これが実は非常に難しいものかもしれません。保育目標はとても抽象的なものなので、「保育目標にかなっているかどうか?」と聞かれたらなんとなくカスッているところもあるけど、ドンピシャでハマっているとは言えないとか、保育目標とは関係しないかもしれないけどこれは必要だよねと誰もが疑わないものなどが無数に出てくるからです。

そのへんをどのように整理するのか?はある程度外部の力を借りて行うほうがスムーズに進められるかもしれません。

ご不明な点があれば、最下部のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

 

行動の慣性の法則

いざ園長先生が「何が必要で何が無駄か」を明確にできたとしても、実際に行動に移すときには驚くほどの抵抗勢力を感じるはずです。園長先生がどんなに強力なパワーを持っていても、どんなにカリスマ性を持っていてもこの抵抗勢力は大なり小なり登場します。

これまでやってきたことを変えることは大変なエネルギーが必要になります。そしてそのエネルギーに打ち勝つには「興味」や「関心」というものが大きな原動力となります。この興味・関心を一番強く持ち続けないといけないのが経営者たる園長先生だと思います。

新しいことに取り組んだり、職員に新しいことにチャレンジしてもらうためにはこの行動の慣性の法則があることを理解して、それに打ち勝つだけの胆力を身につけておかなければならないのです。

 

目的×行為=活動の結果

稲盛和夫の「人生方程式」というものがあります。

人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

「能力」とは、知能や運動神経、あるいは健康などがこれにあたり、両親あるいは天から与えられたものです。

「能力」に「熱意」という要素が掛かってきます。これも、やる気や覇気のまったくない、無気力で自堕落な人間から、人生や仕事に対して燃えるような情熱を抱き、懸命に努力を重ねる人間まで、やはり個人差があります。

これに「考え方」が掛かってきます。掛け算ですから、マイナスの考え方を持っていれば、「能力」があればあるほど、「熱意」が強ければ強いほど、大きなマイナスになってしまいますプラスの「考え方」を持っていれば、人生・仕事の結果は、さらに高いプラスの値となるのです。

稲盛和夫Official SITEより引用)

この考え方自体はとてもわかり易くて、実際に能力が高い人であっても考え方がマイナスの方向に(保育目標と異なる方向に)向いてしまっている人がいて、その人が頑張れば頑張るほど仕事で周りに良くない影響が及んでしまうことがあります。

その人自身は「頑張っている」し、自分の持つ能力をフル活用しているのですが、掛け算の結果悪い結果を生んでしまっています。

 

ここで私なりの解釈として、「活動の結果=目的×行為」というものがあります。

どんな活動でもその目的が保育目標に合致していなければ、結果としてはマイナスとなります。

また、目的は正しい(保育目標に合致している、または、月案、週案、日案の狙いと合致している)が、行為としてその目的にあっていなければ活動の結果はマイナスになってしまいます。例えば雑誌やネットの記事で見つけてきた新しい遊びや活動を取り入れたいと思ったとしても、保育目標や狙いと一致していないときに、やってみたけど思ったとおりに行かなかったり、子どもたちが十分に遊びこむことが出来なかったりします。

なんのためにその活動をするのかをしっかり考えることに時間をかけなければならないということは忘れてはいけない視点です。

 

時間を有効に使うために

自分たちの仕事にどれだけ時間をかけているか?を知らなければ、時間を有効に使えているのかどうかは分かりません。

まずはそれぞれの活動、準備、振り返り、記録などにどれだけ時間をかけているのかをしっかりと把握することが大切です。

一番簡単なのは、準備にどれだけ時間をかけたかを記録することです。もしくは一定時間(1時間とか)のうちにどれだけの準備が出来るのかを知ることが大切です。

そこを足がかりに、「やめること」を検討してみて、やめられない理由を探していくことが、貴重な時間を生み出すきっかけになるのです。

 

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