皆さんの保育園・認定こども園では記録や計画の様式をどのように使っているのでしょうか?

都道府県の保育協会などの団体が共同印刷をしている様式を使っているところもあるでしょうし、様々な会社が開発している保育システムを使っているところもあるでしょう。

どのような様式・書式であっても良いのですが何をどこまでかけばよいのか、職員から聞かれる園長先生はたくさんいらっしゃるのではないかと思います。今回はその「書く内容」を考えてみたいと思います。

「空欄は埋めないといけない」症候群

保育士さんは得てして非常に真面目で勤勉だと思います。中にはそうでもない人もいると思いますが、私が見る限りの狭い範囲で言えば非常に真面目で勤勉です。むしろその弊害すら感じるほど、真面目で勤勉です。

例えば様式に記入欄があると、その空欄が埋まるように、文字数を増やさなければならないと感じてしまい、なにか書かなければならないと焦っているかたもいらっしゃいます。

また、なにか書く欄があると絶対に埋めなければいけないと勘違いされている方もいらっしゃるように感じます。

書くことの目的を見失うほど追い込まれているのか、それを考えつかない方向で真面目で勤勉なのか、私には少し理解が出来ないような人もいます。

 

「書くこと」は「伝えること」と「ふり返ること」が目的

何のためにその書類を書いているのか?が見失ってしまった人は、空欄を埋めたことで満足してしまっているように思います。

ですが、書くことには「読む人に伝える」という目的と、書くことで「自分の行動をふり返る」という目的があります。そして、その目的を達成できる内容が書ければそれ以上書く必要はないですし、目的達成に関係ないことは書いてはいけないと考えています。

空欄を埋めることは手段ですらなく、ただの自己満足に過ぎないとすら感じています。

何のために保育の計画や記録を書くのか?をしっかりと考えることができれば、書く内容も絞り込むことが出来ますし、書類を書く労力を他のことに使えると思います。目的を見失わないことが一番大切です。

 

いちばん大切なのは書いたものより「見て感じたもの」

そうは言っても訓練を受けてきたことがない人にとって、何をすればよいのか分からないから、とりあえず「仕事をしたようなふり」が出来るようにたくさん書きたくなる気持ちは分からないでもないです。ですが、たくさん書いたとしても、その内容が箸にも棒にもかからないものであれば、ただの時間の浪費に過ぎません。

いちばん大切なのは、子どもの活動や行動、言動をしっかりと観察し、さらに専門的な知識とこれまでの経験から子どもの心情を感じ取ることだと考えています。目で見えるものや耳で聞こえるものの量と質を高めるだけでなく、目に見えない感情や言葉にならない心の叫びを保育者がどのように感じ取るのか、または、解釈するのか?が大切だと考えます。

その全てを書類に残そうとすると非常に難しいでしょうし、かけた労力に見合った結果は得られないと思います。例えば子どもの言動にとても感動したとして、それを文字で表現しろと言われても、保育者は小説家ではないので、読み手が同じように感動するような表現をすることは難しいと言われれば、みなさんも共感してくれるのではないでしょうか。

それよりも同僚と「今日こんな事があってね」と話をすることができれば、その時の感動に共感してもらいやすいのではないでしょうか。

 

目的に照らして必要最小限の労力をかける

書くことの目的は、クラスや年度が変わったときに子どもの発達段階を伝えることや、新しい担任などが可能な限り短い時間で子どもとの関わり方を知れることだと思います。また、自分自身の保育を見直すために、どんな関わり方をしたのか、その結果子どもの様子はどうだったのかを客観視するためにあると思います。

そうだとすれば、もっと書く量は少なくなるかもしれませんし、様式に空欄があっても構わないと感じるのではないでしょうか。

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