皆さんの保育園でも新型コロナウィルスへの対応で色々と苦慮されていることかと思います。

私の考えた内容を共有して、皆さんから改善策をもらえたらと思っています。

保育の進め方について

季節性インフルエンザなどと同じような対応をする

新型コロナウィルスもいわゆる「風邪」を引き起こすコロナウイルスの一種だと思います。ただ、これまで罹患した人がいないことから免疫が無いため、ほとんどの人が罹患する可能性が高くなっているものと思っています。そして、厄介なのは罹患するともともと病気を持っている人や高齢者は重症化してしまうことだと思います。

実際、新型コロナウィルスにかかったとしても特効薬はありませんし、症状を抑える対症療法しか手立てはありません

また、予防法についても飛沫感染を予防するか接触感染を予防するためのアルコールでの消毒ぐらいしか無いため、保育園での保育においては予防することはほぼ不可能だと思います。

ただ、みんなが手洗いやアルコール消毒を積極的に行っていることもあり、インフルエンザの罹患率が過去にないほど低くなっているという事実があり、その行動に効果はあると思っています。

マスクについては購入できない人がほとんどだと思いますし、アルコール消毒をしたくても物が買えないのがほとんどではないでしょうか?

だったら、いつもどおり子どもたちが安心・安全に生活が出来ること、保護者が仕事などで保育できない時間を子どもたちが楽しく生活できるように工夫していくしか仕方がないと思います。

子どもや職員が集まる活動はできるだけ控える

2月、3月となると行事もたくさんあると思いますが、この数週間については行事等はできるだけ控えたほうが良いと思います。

飛沫感染は感染者の唾液などが飛んできて口や鼻や目などの粘膜に触れて感染するものですが、子どもや職員が1~2メートルの距離に多数集まる活動(例えばホールなどで集まって行う行事など)はできるだけ控えたほうが感染のリスクは減らすことが出来ると思います。

一方で、保育室での活動はそれこそ0メートルの距離で触れ合うことになるので、行事を減らしたところでリスク全体量は大して減らないというのが実態だと思います。

あえて、行事を減らしたほうが良いと書いているのは、「保育園として出来る限りの防御策を施しましたよ」という「言い訳」のためです

何かが起きた時に誰かしらを責めないと気持ちのやりようがないということは、みなさんも理解していただけると思います。自分の大切な子どもが新型コロナウィルスに感染し、それが保育園の活動で、しかも行事のときに感染したとなれば保育園を攻めたくなる保護者の気持ちはよく分かると思います。

一方で、保育園を休園するとなると、保護者は仕事に行くことができず(会社等が休むことを推奨している場合を除く)、これもまた保育園に対して責めたくなる気持ちが出てきてしまいます。

落とし所として、「通常保育はこれまで通り行うが、できるだけ感染リスクを減らした」と言えることが大切なのかな?と思っています。

思い出が減るのでは?

行事を減らしたり中止したりするとひな祭りなど1年に1回の思い出づくりができなくなってしまって、子どもたちが可哀想ではないか?という思いを持つ人もいるかと思います。

確かにその気持もよくわかりますが、子どもの安心安全な生活が最優先だと思いますので、思い切って中止することこそが子どもたちのための行動ではないかと思います。

または、季節の行事や大切な行事は行うとしても、必要最小限のものにとどめて、日々の保育の中にエッセンスを取り入れていくことで子どもたちの思い出に残すこともっ出来るのではないかと思います。

子どもの手洗い等について

この前の記事にも書きましたが、新型コロナウィルスへの対応として有効と思われるものに、手指からの感染予防があります。

特に保育園では粘膜にて指で触れる子どもたちがそのままおもちゃや建具をたくさん触ります。そういった感染可能性をできるだけ減らすために子どもたちが出来ることとしては手指の洗浄、つまり手洗いです。

マスクが出来る年齢の子どもであればマスクを推奨することも可能でしょうが、それができない低年齢児の子どもたちにはここぞとばかりに手洗いを推奨しましょう。どうして手洗いが必要なのか?を理解することは難しいかもしれませんが、日々の保育の流れの中で手洗いの回数を増やすだけであれば何とか出来ると思います。

そしてここぞとばかりに正しい手洗いをたくさん経験してもらいましょう。これは新型コロナウィルスが収束しても効果が持続するいいきっかけかもしれません。

保護者への情報提供について

保護者には新型コロナウィルスの蔓延を全国的に防ぐことを目的に、保育園でも各種の対応を取らざるを得ないとして、いくつか負担してもらう事が必要になると思います。

保育園に子どもを預けている保護者は、子育ての第一義的責任を負う親であるとともに、自分で子育てができない事情(仕事や療養など)を持つ大人です。子どもを育てなければいけないが、自分ではできないから保育園に預けているのであれば、保育園からの要請を受け入れることも吝かではないと理解してもらいやすいと思います。

参考にできる厚生労働省などの事務連絡

事務連絡の一覧はこちらにあります。

保育所等における感染拡大防止のための留意点について

【一部抜粋】

(子どもについて)
○ 保育所等の登園に当たっては、登園前に、子ども本人・家族又は職員が必要に応じて本人の体温を計測し、発熱等が認められる場合には、利用を断る取扱いとする

過去に発熱等が認められた場合にあっては、解熱後 24 時間以上が経過し、呼吸器症状が改善傾向となるまでは同様の取扱いとする。なお、このような状況が解消した場合であっても、引き続き当該子どもの健康状態に留意すること。

上記にかかわらず、病児保育事業の利用について妨げるものではないが、当該子どもの保育所等が新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための臨時休園を実施している場合等については、感染の状況や受診した医師の診断を参考に、利用の可否について、慎重に判断すること。

これを見ると、保育所における感染症対策ガイドラインの別添3よりも保護者の負担が大きくなることを認めています。

登園を控えるのが望ましい場合」として、「24 時間以内に 38℃以上の熱が出た場合や、又は解熱剤を使用している場合。」している

今回の事務連絡ではそれを超えて、「本人の対応を計測し、発熱等が認められる場合には、利用を断る取扱いとする」、「過去に発熱等が認められた場合にあっては、解熱後24時間以上が経過し、 呼吸器症状が改善傾向となるまでは同様の取扱いとする」となっています。

つまり、「登園を控えるのが望ましい」ではなく、「登園するな」(=自宅で子どもを見てください)ということです。

国としてはここまでのことを保育園にやってもいいよと言っているわけです。

保育所等において子ども等に新型コロナウイルス感染症が発生した場合の対応について

第一報

【登園等停止の措置及び臨時休園等の判断について】

2. 市区町村は、当該子ども等に対して、治癒するまでの間、登園等を避けるよう保護者等に要請する。また、市区町村及び保育所等は、都道府県等が行う感染経路の特定や濃厚接触者の特定等に協力する。

3. 都道府県等は、主に地域での流行早期の段階に行われる公衆衛生対策の観点からの休園等の必要性の有無について判断し、必要であると判断した場合、市区町村に対し、保育所等の全部又は一部の臨時休園等を要請する
また、都道府県等は、感染のおそれがある子ども等について、必要と認める場合には、市区町村を通じて保育所等に対し、登園等を避けるよう要請する。

4. 都道府県等から臨時休園等の要請がない場合であっても、市区町村は、例えば、地域ですでに感染が拡大しており、保育所等において多数の発症者がいる場合などには、保育所等運営上の対策を講じる目的などの観点から必要な臨時休園等を行うことができる。その場合には、休園等に伴う影響等を十分に考慮し、必要に応じて都道府県等と相談の上、判断することが重要である。

 

第二報

(子どもが感染した場合について)
1. 感染した子どもが、発熱や咳などの症状が出ている状態で登園していた場合には、市区町村は、当該保育所等の一部又は全部の臨時休園を速やかに判断すること。臨時休園の規模及び期間については、都道府県等と十分相談すること。

2. 感染した子どもが、発熱や咳などの症状が出ていない状態で登園していた場合には、現時点の知見の下では、一律に臨時休園が必要とまではいえない可能性もある。このため、市区町村は、その必要性について、個別の事案ごとに都道府県等と十分相談の上、慎重に判断すること。

(子どもが感染者の濃厚接触者に特定された場合について)
3. 子どもが感染者の濃厚接触者に特定された場合には、当該子どもの保護者に対し、市区町村は登園を避けるよう要請すること。なお、この場合において、登園を避ける期間の基準は、感染者と最後に濃厚接触をした日から起算して2週間とする

(感染者がいない保育所等も含む臨時休園について)
4. 1.及び2.とは別に、地域全体での感染拡大を抑えることを目的に、新型コロナウイルス感染症の地域における流行早期の段階において、都道府県等の衛生部局等とも十分に相談し、公衆衛生対策として、感染者がいない保育所等も含む臨時休園を行うことも考えられる。この場合には、対外的な交流イベントなど地域の子ども等が集まる行事なども含めて幅広く対策を検討する必要がある。

(発熱等の症状がある子どもの登園回避の要請の徹底について)
5. 感染拡大の防止の観点から、家庭との連携により、できる限り健康状態の確認(検温等)を行うよう指導することとし、特に、感染者が確認された地域に所在する保育所等においては、このことを徹底すること。また、発熱や咳などの風邪の症状が見られるときは登園を避けるよう要請すること。

保育園の子どもに感染者が出ればその保育園は最悪全クラス臨時休園となります。そうなった場合、影響が及ぶ保護者の数はものすごい数になります。

人間の性として、「誰が感染したんだ?(誰のせいで私は仕事を休まなければいけなくなったんだ?)」という犯人探しが始まってもおかしくありません。保護者も出来ることならそんなことをしたくないと思いますし、誰も「犯人」になりたくないと思います。

だからこそ、皆さんに協力してもらってみんなで感染予防をしていくのが必要だと思います。

また、家庭で検温することを要請し、発熱や咳などの風邪の症状が見られるときには登園を避けるように要請しています。

新型コロナウイルス感染症の発生に伴う保育所等の人員基準の取扱いについて

今後、新型コロナウイルス感染症の対応に伴い、保育所等において保育士等が一時的に不足し、人員等の基準を満たすことが出来なくなるなどの場合が考えられますが、人員、設備等の基準の適用については、利用児童の保育に可能な限り影響が生じない範囲でご配慮いただきますよう、関係市区町村や保育所等、保育関係団体に周知を図るようお願いいたします。

回りくどく書いていますが、結局は「配置基準を下回っても目をつぶってね」ということですね。

東日本大震災などの災害時と同じ対応を取っているということでしょう。口が裂けても厚生労働省は配置基準を下回っても良いとは言えないでしょうから、官僚の言葉を翻訳してあげないといけないですね。

保育所等の卒園式・入園式等の開催に関する考え方について

卒園式や入園式等については、かけがえのない行事であり、現時点で、政府として一律の自粛要請を行うものではありませんが、特に感染が発生している地域におきましては、市区町村において、実施方法の変更や延期などを含め、対応を検討していただくようお願いします。

また、実施する場合には、下記のような感染拡大防止の措置をとっていただくとともに、実施方法の工夫の例についても併せて示しますので、ご参考にしてください。

<感染拡大防止の措置>

  • 風邪のような症状のある方には参加をしないよう呼びかけ
  • 参加者への手洗いや咳エチケットの推奨、可能な範囲でアルコール消毒薬の設置
  • こまめな換気の実施

<開催方式の工夫の例>

  • 参加人数を抑えること(在園児の参加の取りやめ、保護者等の参加人数を最小限とする、保護者を別会場とする等)
  • 会場の椅子の間隔を空けるなど、参加者間のスペースを確保すること
  • 式典の内容を精選し、式典全体の時間を短縮すること(祝辞の割愛、式辞等の文書での配付、卒園証書を代表の子どもへの授与とすることなど)
  • 予行等は取りやめ、式典当日のみの実施とすること

※卒園式を想定していますが、必要に応じ入園式にも応用ください。

卒園式を取りやめることが望ましいが、一生に一回の記念の式典を辞めろとは言えないので、開くのだったら感染予防を頑張ってねということですね。

保育園の場合は練習も必要でしょうし、学校に比べると人数も少ないので卒園式を取りやめるところはあまり多くないと思いますが、場合によっては取りやめも考えないといけないと思います。

ちなみに私の園では予定通り卒園式を執り行うつもりですが、流れは少し短縮しようと思っています。保護者もそれぐらいであれば理解してもらえると思います。

 

「新型コロナウイルスに関する Q&A」等の周知について

詳細は割愛しますが、中には国としての方針がたくさん記載されています。

一通り確認されるのが良いと思います。

保育士の働き方について

保育士の子どもが「休校になったから休ませてほしい」と言ってきたら

休ませるしか無いと思います。

もちろん保育が回らないから休んでもらったら困るという園もたくさんあると思います。ですが、そのために保護者には出来る限り家庭での保育をお願いするなど、保育園で預かる子どもの数を少なくすることも経営者として一つの決断なのかもしれません。

保育士が体調不良になったら

即刻休ませるのが良いと思います。

この時期に感染する病気として一番多いのはインフルエンザだと思います。発熱や全身の倦怠感など新型コロナウィルスとにた症状になることもありますが、いずれにしても職場に出てこられて仮に感染が拡大してしまったら、それこそ保育園の道義的責任問題になります(法的責任が問われるかどうか?は微妙なラインだと思います)

体調不良にならないように、みんなで協力して一致団結して乗り切るしか無いと思います。

調理員が感染・体調不良になったら

思い切って給食の品数を減らしたり購入した食材などを活用して凌ぐしか無いと思います。

給食を介しての感染症の拡大は非常に注意しなければいけないことです。影響がクラスを超えて及ぶので、その点には最大限の注意をしなければいけないと思います。

市町村の窓口との折衝について

まずは現場の意見を伝えよう

市町村の担当は今、恐ろしいほど忙しくなっています。管轄の保育園から様々な問い合わせが飛んできたり、厚生労働省から様々な事務連絡が届いて対応に追われています。

何をどうして良いのかわからない状況で、パニックになっているのでこの状況で市町村の窓口を責めても何も状況は改善しません。

現場の意見として、「こうしたら良いんじゃないか?」を伝えるぐらいにとどめましょう。そしてできるだけ電話をやめましょう。電話はこのタイミングで最悪のコミュニケーションツールです。相手の時間を拘束し、必要な業務が行えなくなります。

市町村からの応援要請にはできるだけ応えましょう

困った時にしっかりとサポートしておけば、今後自分の縁が困ったときにもサポートをもらえる可能性が高まります。もらえないかもしれませんが、困った時に助けてもらった経験は想像以上に効果があります。

また、市町村の保育実施義務は法律で定められたものです。その市町村から委託を受けて保育を行っている保育所であれば、契約の当事者として相手方との信頼関係構築のために出来るかぎりのことをしていくのが、大人の対応と思います。

この機会に市町村と良い関係を作り、保育現場の要望を通しやすいようにしましょう。

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