保育園は利益を出すべきか?

初めて保育園で仕事を始めた時に衝撃を受けた話の一つです。

保育園、特に社会福祉事業として実施してきた認可保育所では利益を出すことが認められてきませんでした。もちろん、施設の建て替えなどのために必要な蓄財は認められてきましたが、それは目的を決めた積立という形でのみ認められてきたものです。

もちろん、福祉のために行っている事業なので闇雲に利益を出すのではなく、子どもや職員のためにしっかりと使い切ること、税金の手当が入っているので目的外の利用は認められていないことはよく理解が出来ます。

一方で「より良い保育をするため」に資金が必要なことについて、あまり考慮されていないのではないか?その価値が認められていないのではないか?という疑問を持ちました。

 

利益とはなにか?

措置費を受けて社会福祉事業を行ってきた時代から保育園の園長先生をしていた人たちにとっては、「利益」というのはあまり良いイメージを持っていないのかもしれません。

利益とは「資産」を活用し「費用」をかけて「収益」を得た結果差引で残った金額に過ぎません。

良い保育を行うためには多くの費用が必要です。一方、認可保育所であれば入所児童数等によってある程度収益の額は決まってきます。その差引なので認可保育所で利益を増やそうとすると、費用を抑えるしか方法がなかったのです。その点では利益を出す=費用を抑えるということになり、費用を抑えるためには保育の質を下げることになるから悪いイメージを持ってきたのではないかと思います。

 

費用の抑え方を変えれば利益は良いものになる

費用はどうやって抑えればよいのでしょうか?

認可保育所の場合であれば、費用の7割程度が人件費です。一番大きいところを抑えるのが一番効果が高いので、簡単に言えば保育士、調理員等の職員給与や賞与を抑えてしまえば簡単に費用を抑えることが出来ます。

ですが、国の政策等で保育士等の処遇改善が叫ばれており、また、基準となる俸給表等が示されていることもあり、簡単に変えることは出来ないのが現状です。

現状年功序列で賃金が上がる園がほとんどだと思いますので、安い賃金=若手の職員を多くすれば(処遇改善等加算Ⅰは減りますが)人件費を下げることが可能になります。

 

また、事業費(子どもにかける費用)のうち、半分程度を占めている給食費を抑えれば費用は下がります。

かつてあまりにもお粗末な給食しか提供していなかったところが問題になっていましたね。あのような園までは行かなくても、公定価格に含まれる給食費相当額よりも少ない材料費等で給食を提供すれば、費用は下がります。

また、残りの半分程度を占める保育材料費(子供のおもちゃや絵本など)を抑えるのも費用を下げることが出来ます。市販のおもちゃを買うのではなく、保育士達に材料を購入させて、手作りおもちゃをたくさん作らせれば、園としては費用をかけずにおもちゃなどを揃えることが出来ます。また、ぼろぼろになった絵本などもそのまま使えば保育材料費は必要ありません。

 

書いていて気分が悪くなりましたが、こんなことに精力をかける園長先生がいたとしたら、早めに引退してもらいたいですね。子どもの利益を考慮していないとしか思えません。

 

良い保育のためには「事業費」(子ども以外にかける費用)に着目すべきです。特に固定費(子どもの数や職員の数にかかわらずある程度決まった額が支出される費用)の見直しが最優先となります。

 

費用の見直しポイント

保育園でかかる費用のうち見直しの影響が大きいものはどのようなものがあるでしょうか?

電気代、通信費(電話、インターネット、郵便)などは見直しがしやすいものですね。

また、水道代、業務委託費、保守料、広告費などは頑張れば見直しができるかもしれません。

 

どのくらい影響が出るの?

どの程度削減できるのか?については各園の状況によって変わるのですが、当園で言えば、年間で80万円ぐらいの差が出ました。

もちろん何もしなかった場合と比較してということなので、同じような結果が出るかどうかは分かりませんし、費用を抑えるためにかなり頑張らなければならないところもたくさんありました。

ですが、保育園の園長として、職員に負担をかけずにより良い保育をするための資金を集めることは必ずしなければならないことではないかと思っています。

 

利益を出すべきか?の答え

私個人としては「利益を出すべき」と考えています

その利益は子どもたちに良い保育を提供するために必要なものであり、決して悪いものではないと考えるからです。

出した利益をどのように使うのか?は経営者の考え方によるところもあるのでしょうが、基本的に利益を出せないと良い保育を続けることは難しいと思います。

良い保育、質の高い保育をすべきだ!と声高らかに叫ぶことは簡単ですが、具体的に・実践的にそれをするために経営者としてできることは何なのかをしっかりと考えていかなければならないと思っています。

 

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